だれか助けて-----Somebody help me-----
新緑に彩られた
六甲山脈を
縦に貫くトンネルは
いくつか有り
今日は最短ルートで
帰ってきました。
あぁ・・疲れたー。
夜勤明けの
達成感にも似た爽快な気分は
今日は無い。
人権蹂躙的な
他者の尊厳を踏みにじる
ような行為に
自らも
加担しているのではないのか
と自問する帰り道。
本日は
私の憂鬱な気分
と共にお届けいたしますが、
人間の
終末期においての
快適な過ごし方について
考察してみたいと思います。
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いつも
『腰が痛やぁ～！』と
毎度 施設内で
迷子になっている
名古屋弁の○○さん。
ワンオペ夜勤の私の場所まで
約１００メートル程
歩いて来られました。
因みに
この方の担当は
私ではありません。
廊下で繋がった反対側の棟の
他のユニットの
ご利用者様です。
私の所にお見えになったのは
一晩で
５回。
一度目と二度目は
いつものように
自室を出て
迷子になられて、、、
『腰が痛やぁ～、のよ。
どないしたりゃあエエか
わからんようになってしもうて。
どこに行ったりゃあエエのか、
わからんのよ。』
パソコンで業務日誌の
作業に追われる
唯一 灯りが点いている
私の場所まで
不安な面持ちで
とぼとぼと
片手で腰を押さえながら
暗闇から歩いて
こちらにいらっしゃいました。
彼女の居室は
隣の棟の
一番端っこ奥のお部屋で
腰の痛みを抱えながら
暗がりを
どんなお気持ちで
歩いて来られたか・・
私は
作業の手を止め
彼女のお部屋まで
ご案内し
二度とも
居室内にある
お手洗いにお連れしました。
そして
三度目は
『フルちんだやぁ～』と
言いながら
こちらに歩いて来る
その出(い)で立ちは
まさしく
下半身 素っ裸!!( ; ﾛ)ﾟ ﾟ
えぇ～～！！
間違えないで
いただきたいのですが
私が現在働くそこは
精神病棟ではありません。
老人介護施設です。
急いで
毛布を取りに行き
○○さんの腰に巻き付け
「こちらで
お待ちいただけますか？
私は今手が放せないのですが、
終わりましたら直ぐに
○○さんをお迎えに上がりますので
動かずにお待ちくださいませんか？」
と、○○さんの手を握り
お願いし
私の担当ユニットにある
廊下のソファに
御掛けいただきました。
「うん！わかった。
ぜったい動かん！！」
と、にこにこ○○さん。
この日は
薬剤投与による
『春の便まつり』
布のゆるゆるのパンツの中で
テープなしパットが
ズレて、
尿と便で
肌着のみならず
パジャマもシーツも
グジュグジュに汚染してしまった
ご利用者様が複数おられ
丁度その排泄介助に回っている
最中の出来事でした。
汗だくで
排泄介助と全身更衣と
リネン交換を
最速で済ませ
大急ぎで
○○さんの元へ。
「お待たせいたしました。
○○さん、お寒くないですか？」
とお声かけしますと、
嬉しそうに笑顔で
「動かんと
待ってたよ～。」
「はい、
偉かったですね。
待っていてくださり
ありがとうございました。」
私が先ほど巻いた
腰巻き毛布を押さえながら
片手は
○○さんの手を取り
二人で歩く暗闇の廊下。
私の手を
しっかり握る○○さん。
○○さんの居室に
入るやいなや
私は
全てを読み取りました。
持ち上げると
水分が滴(したた)り落ちる
洗面台にだらりと
置かれた布パンツ、
トイレ内の床に
点々とした水溜まり、、
トイレの蓋の上に広げられた
ビショビショの
パジャマのズボン。
困って
いらしたのね・・・
この施設の
お偉いさん方
これが
あなた達のやりたかった
介護なんですか？？？
自尊心も
羞恥心も
尊厳までも
踏みにじる行為が
これが
あなた達が信奉する
理論なのですね。
この施設は
《竹内理論》に基づく
夜間帯もオリジナルな
おむつゼロ・・
等と机上の空論システムを
もう何十年と推進中。
早番職員が
続々と出勤し始める朝方
他の職員がそのユニットに
居るにも関わらず
それをすり抜けて
やっぱり○○さんは
それから２回
私のところに
来られました。
○○さん、
貴女の人選は
間違っていないかも・・
たとえ認知症に罹患
していても
ご利用者様が
人を見る目が確かである事が
ここを離れる私にとって
救いです。
○○さん、
これからも
しっかりと
貴女の手を取って
一緒に歩いてくれる人を
探してくださいね。
人間が
最終的に
幸せであるかどうかは
共にある
人で決まります。
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